My important place【D.Gray-man】
第43章 羊の詩(うた).
上手く頭が回らない。
突然の沢山の情報とアレンへの疑惑。
そんな私の態度に不信感でも抱いたのか、コムイ室長の声は幾分厳しさを増した。
「…雪くん。君は昔教団で、クロス元帥に一時的に身柄を保護してもらっていた。クロス・マリアン。彼は14番目本人と深い関わりがある人物だ。アレンくんへの寄生のことも勿論知っていたし、それに関与していた恐れもある」
…そういえば…さっきアレンの説明で、そんなこと言ってたような…。
「もしかしたら…君のノアメモリーも、彼が何かしら手をかけていたんじゃないのかな」
「……」
何…言ってるんだろう、室長は…。
上手く回らない頭で、なんとか考えてみる。
クロス元帥が私のノア化に関与していたかって、そういうこと?
そんな疑いをかけられてるの?
「もしそうなら、あの適性実験でイノセンスが傷付けられたのは、君の中のノアが──」
「違います」
俯いたままコムイ室長の言葉を否定する。
あの時、私の手の中で父のイノセンスが砕け散ったのは、ノアメモリーの所為なんかじゃない。
あれは…あの消滅は、きっと私が…人間であることを強く望んで、イノセンスを拒否したからだ。
エクソシストであった父を。
私が、否定したから。
「クロス元帥は関係ありません…あの時の私は…ただの子供でした……ノアには、なってない」
それだけははっきりと言える。
クロス元帥が私の傍いてくれたのは、ノアだったからじゃない。
私の為に…私に生きろと伝える為に、傍にいてくれた。
…そう、だよね? 元帥。