My important place【D.Gray-man】
第43章 羊の詩(うた).
『…もし僕が、周りが噂するような…本当にノアの手先だったりしたら、雪さんはどう思います? ノア側だから方舟も操れたとしたら。……もしも、の話ですけど』
クロス元帥が消えた部屋で、アレンとティムキャンピーと一緒に過ごした夜。恐る恐る聞きたいことがあると、問いかけてきていたアレン。
あれは…もしもの話なんかじゃなかった。
半分、本当の話。
不安だったんだ、きっと。
何も知らない私に問いかけてしまう程に。
教団の中で一人、敵であるかもしれない不安に襲われていたんだ。
「……っ」
その気持ちは、痛い程にわかったから。
私ならその思いを共有できたのに。
あの時、アレンに"私も同じだよ"と言うことができなかったことに、胸が締め付けられた。
…じゃあユウもラビもリナリーも…皆、あの時から知っていたんだ。
知っていて、普段と変わらずエクソシストとしてアレンと接していた。
ユウはまぁ、ああいう性格だから態度なんて変えないだろうけど…でもアレンがノアの姿を見せようものなら、敵と見做して斬りかかろうとしそうな気がする。
お互いに仲も悪いし。
でもそんな姿を今まで見てないってことは、アレンはまだノアとして覚醒してないってことで──
「…?」
…ちょっと待って。
覚醒してないにしろ、アレンはノアの力を持っている。
私がジャスデビのノアメモリーを流し込まれた時のように、ユウ達の前で体がノア化した時…何故ノア化したのか、不思議に思っていた。
傍にノアはいなかったのに。
ジャスデビのノアメモリーの影響が残っていたのかとも思っていたけど。
あの時頭に響いた「オカエリ」という声は、ジャスデビのものではなかった。
寧ろ…あの声がアレンに、似ているかと言えば…似ていなくもないと、思える。
…それって…もしかして。
もしかして、私がノア化したのは──…
アレンの影響?