My important place【D.Gray-man】
第43章 羊の詩(うた).
「………は…?」
14……え?
今、なんて言ったの。
…"ノア"って言った?
「…な、に……え?」
上手く言葉にならない。
「ノア…?…アレン、は…エクソシスト、でしょ…」
意味がわからない。
何を言ったの、室長は。
…14番目? 何、それ。
"アレンがノア"
急に問われた言葉を理解しようとしても上手くできなくて、ただ目の前の室長の顔を凝視するばかり。
そんな私を、室長もラビもブックマンも冷静に見返していた。
…皆、知ってたの?
そのことを。
「……コムイ。雪はアレンのことは知らねぇさ。前にオレも問いかけたことがあるし…この反応は、シロだ」
「……そうだね」
淡々と静かに告げるラビの声と、やがて静かに頷くコムイ室長の声が、どこか遠くに聞こえるようだった。
何。なんでそんなに普通なの。
だってアレンがノアなんだよ?
彼はエクソシストでしょ?
だってあの左手はイノセンスだし…ノアならそんなもの持てるはずがない。
「ま…待って。何、ノアって。アレンはエクソシストでしょ。AKUMAを浄化してる姿は、ちゃんと見てる…っ」
「…うん。彼の左手は間違いなくイノセンスだよ」
「じゃあなんで…ッ」
「それと同様に、彼の体には14番目のノアメモリーが寄生しているんだ」
「…きせ…?…は?」
きせい?…寄生?
どういうこと。
どういう意味。
イノセンスとノアメモリーは対照的な存在。
私がアレンのイノセンスである退魔の剣に拒絶されたように。
お互いに反発し合い交わらないもの。
それがアレンの体に二つとも宿ってるの?
可能なの? そんなこと。
「アレンくんのことはちゃんと説明するよ。だからもう一度だけ確認させてくれ。…君はアレンくんのことを知らなかったんだね? 14番目のノアのこと」
「…し…知らない…」
「………そうか。うん。わかった」
暫く沈黙を作った後、しかと頷く室長にもう迷いは見当たらなかった。
そして、私はその口から聞かされることになる。
アレンの身に宿っているという、14番目のノアメモリーのことを。