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My important place【D.Gray-man】

第42章 因果律



「雪! 目ぇ覚めたのかっ!」

「え?」

「ほんとだわっ雪ちゃんも怪我したんでしょう? 大丈夫だったっ?」

「体の調子はどうであるか?」

「あ……うん」


 声を上げて駆け寄るジジに、ミランダとクロウリーも続く。
 そんな突然の呼びかけに驚き顔を上げたのは、雪本人。
 歩いていた足を止めてジジ達に反応を示した。


「心配掛けてごめんなさい。私は大丈夫」


 最初こそ驚き顔でぱちぱちと目を瞬いていたが、やがて苦笑混じりに頷く。
 そんな雪の姿は服の下から包帯が見え隠れしているが、動きにぎこちなさは見えない。
 そこまで酷い怪我ではなかったのだろう。
 ジジは顔には出さず安堵した。


「バズ達も心配してたからよ、一度顔見せて……お? そちらさんは…」

「彼女は室長に呼ばれておりますので。その話はまた今度にして貰えますか」


 色付き眼鏡の奥の目が、雪の傍らに立つマダラオを捉える。
 それと同時にリンクに制され、ジジはきょとんと目を瞬いた。


「室長にぃ? 怪我人を早々呼びつけるたぁ忙しねぇなぁ」

「…仕事ですから」


 呆れ混じりなジジの言葉に雪は軽く苦笑するだけ。


「それでは──」

「雪」


 軽く頭を下げて去ろうとする雪を呼び止める声。
 それは病室内のベッドに座るマリからだった。


「どうした、少し心音が可笑しいが…何かあったのか?」

「……」


 AKUMAの銃弾により怪我した片耳には、大きなガーゼが貼り付けてある。
 それでもマリの耳は充分に雪の心音の変化を拾い取っていたらしい。

 正確な感情など読み取れはしないが、心音で大方のことは把握できるのだろう。
 マリには隠し事はできないかもしれない、と言葉を交わし感じた過去の出来事を思い出しながら、雪は微かに下唇を噛んだ。

 こんな所で下手にボロを出しては駄目だ。

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