My important place【D.Gray-man】
第42章 因果律
そんな雪の姿に、微かに眉を寄せたのはリンクだった。
一瞬迷う素振りを見せた後、静かにその口を開く。
「…ノイズ・マリは手の治療の為に医療班の下で一時入院しています。ウォーカーと神田ユウはコムイ・リー室長の下にいます。今から向かう先で会うことはできる」
「──!」
「な…っ」
「……」
唐突なリンクからの報告に、驚いた雪の顔が弾けるように上がる。
テワクも同じに。
ただ一人マダラオだけが、声も荒げず鋭い目をリンクに静かに向けていた。
「ただし接触はできない。先程貴女はリー室長の権限の下、教団に置いてA級戦犯被疑者との決定が下りました。それ相当の覚悟をして頂きたい」
「…戦犯…被疑者…」
予想はしていた。
身構えているつもりだった。
しかしはっきりとその実態を告げられると、予想より遥かに大きなショックとなってそれは雪を襲った。
まるで頭を槌か何かで殴られたような衝撃。
自分は、平和の"害"と見做されたのか。
「…まだ既定ではなく仮のものです。はっきりとした判決は、貴女自身と言葉を交えないと下せないと、室長本人が仰っていました」
大きなショックを受けた空っぽの頭に、静かに入り込んでくるリンクの言葉。
(言葉を交えるって…私の意見を、聞いてくれるってこと…?)
コムイらしい判断だと思った。
果たして自分の言葉に耳を貸してくれるのか、それは定かではないが。
「その為の同行だ。わかったら大人しく従え」
リンクの言葉に続くように、マダラオが今一度促してくる。
その姿をもう一度見上げ、雪は静かに視線を下げた。
「…はい」
そこに抗う余地など何もない。