My important place【D.Gray-man】
第42章 因果律
エクソシストの姿がないのは何故なのか。
今此処で神田と出会えたとして、どんな言葉を交えればいいのか。
それは雪にもわからなかった。
言うつもりだった。
この任務が終われば、しかと伝えるつもりだった。
そんな言葉、今では単なる言い訳にしかならない。
それでも此処にいる彼らより長く付き合いのあるエクソシストの姿がないのは、不安でしかなかった。
室長の所へ連れていくと、彼らは言った。
コムイなら自分の言葉に耳を傾けてくれるだろうか。
でもなんと言えばいい?
ノアであっても自分は敵になるつもりはないと、そう言えば信じてもらえるのか。
教団で命を賭けて戦っている彼らを説得できる程の、事柄も話術も何も持ってはいないのに。
「考えるな」
ぴしゃりと、まるで雪の不安な思考を読み取ったかのようにマダラオが制した。
「何を企もうとも貴様の処罰は変わらん。無駄な足掻きはするな。これ以上自分の立場を悪くしたくないのであればな」
「…企んでなんて…」
ない、とは言い切れなかった。
彼らから見れば自分は敵でしかない。
そんな存在が自分の命の為に足掻こうとすることは、ただの反逆にしか見えないのかもしれない。
「……」
何も言えない。
何も吐き出せない。
機能することを許されない唇を噛み締めて、雪は俯いた。