My important place【D.Gray-man】
第42章 因果律
ふと、暗闇からの空気の圧が増す。
どうやら本当に時間がないらしい。
はいはいと内心呟きながら、仕方ないとティキは息をついた。
「んじゃ、一旦ここでお別れだ」
「っ! 待って…!」
首筋から手を退いて呆気なく身を離せば、慌てた雪が手を伸ばしてきた。
縋るように向けられた細い手。
前とは確かに変わった雪のその反応に、笑みを添えて。
「大丈夫、また来るよ。だから──」
細い手を優しく握り込んで、視線を交わす。
最後の言葉を口にする前に、ティキの姿は闇へと溶けた。
──生きろよ、自分の為に