My important place【D.Gray-man】
第42章 因果律
「……」
「"男ができたら出てく"って言ったでしょ~」
「……」
「…パパ?どうしたの?」
言葉にならないとは、このことか。
笑顔で首を傾げてくるエミリアに、思わずよろよろとショックで床に両手を付いて座り込む。
何故手塩にかけて育てた(とも言えないが)愛娘を、怪盗なんぞしていた少年に奪われなければならないのか。
立派な経歴の男を連れてきたって、簡単に首を縦に振る気はなかったのに。
相手はまさかの怪盗で、少年で、娘が残る場所はまさかの戦争をしているという軍事組織。
処理し切れない膨大な情報に、一気に魂が抜ける。
「…警部、」
そんな満足に言葉も発せない程ショック状態のガルマー。
その肩に優しくポンと手を添えたのは、偶々近くで事の一連を聞いていたジジだった。
「いやはや…Gは最後にとんでもないものを盗んでいきましたな…」
「ですねぇ…」
「全くだな…」
「ほんと…」
そこに続くはファインダー部隊であるゴズ、バズ、そしてボネール。
彼らの顔は一同に仏のように優しいが、何故か口元は微かに震えている。
「「「「貴方の娘(の心)です」」」」
口を揃えて優しい声で諭す。
ぷっつんと、ガルマーの中で何かが切れる気配がした。
「エ…ッエミリアァアァアァアアア!!!!!!」
雄叫びのような涙の悲鳴。
そこに立て続けに起こったのは、ジジ達の盛大な爆笑の渦だった。