My important place【D.Gray-man】
第42章 因果律
今まで仕事ばかりでちゃんと構っていなかった。
外にばかり目を向けて、家のことなど見ていなかった。
だから妻は早々に自分を見捨てて家を出ていった。
それでも変わらず傍にいてくれたのは幼き娘。
私が傍にいないとパパは駄目になるから、と。幼いながらも小さな手を伸ばして、しっかりと自分の手を握ってくれたエミリアの姿は、一度だって忘れたことはない。
そんな娘がAKUMAという謎の兵器に襲われて、一歩間違えれば死んでいたかもしれないという事実を知って。
改めて何が大切なのか、自分が目をむけるべきものはなんなのか。ガルマーは痛い程に思い知らされた。
エミリアの肩の傷がしっかり完治するまでは、片時も離れず傍にいよう。
今まで家庭のことはエミリアに任せっきりだったから。
今度は自分が娘の世話をしてやるのだ。
少し遅くなってしまったかもしれないけれど。
きっと、まだ間に合うから。
「私、此処に入団するから」
「………エ?」
ピタリと、握っていた果物ナイフの動きが止まる。
「だからあの子のことは心配しなくていいよ」
恐る恐る顔を上げたガルマーが見たものは。
「私が傍にいるっ」
にっこりと満面の笑みを浮かべて笑う愛娘。
パパの傍にいると、小さな手で握り締めて笑いかけてくれた時と全く同じ笑顔だった。
「………………エ?」