My important place【D.Gray-man】
第42章 因果律
「諸々ザッと合計致しますと…」
真っ白なまま固まったコムイを余所に、カタカタと電卓を忙しなく叩き計算していくフェイ。
ぴたりとその手が止まると、躊躇することなくコムイの目の前にあっさりと向けられた。
「これくらいかと」
「だsふぁ4%w☆#9!?!?!!!」
驚愕の金額が。
元より有する金額の潤っている教団でも、到底庇い切れない程の金額。
そのあまりの額に、言葉にならない悲鳴を上げるコムイ。
眼鏡の奥の目は飛び出さんばかりに剥き出し、忽ち真っ白な灰へと変わってしまった。
さらさらと崩れゆく体。
ではなく、精神。
悲しきかな。
このまま灰になって消えてしまいたい程なのに、体は一部の欠片も全く崩れてなどいない。
現実は厳しい。
「ルベリエ長官に土下座された方がよろしいですね。ヴァチカンの手が必要でしょう」
「オレは安くねぇぜぇええ、ボ~~~~ス♪」
『えげつないなぁ、マスター♪』
腹の底までドス黒く染まったような笑みを浮かべるティモシーに、その後ろでソファの背凭れに肘を付いた憑神が笑う。
僅か9歳にして怪盗をこなし数々の宝石を盗んできた少年は、すっかり逞しく生き抜く術を身に付けていたようだ。
結果。
この未成年エクソシストを一人確保する為に、教団が支払う代償はとてつもなく大きなものとなったのだった。