• テキストサイズ

My important place【D.Gray-man】

第42章 因果律


 ✣ ✣ ✣ ✣

 イギリスのロンドンにある、黒の教団本部。
 その司令室。


「…怪盗G…」


 教団内で一番偉い人の部屋で、一番偉い人が座ることを許された分厚いクッションの椅子に腰を沈め、机の上で組んだ両手をピクリと震わせる。
 その人の肩書きは黒の教団本部科学班室長。

 コムイ・リー。


「の、損害賠償をうちが…!?」


 ピキン…!と周りの空気が張り詰める。
 ピクピクと口元を引き攣らせながらコムイが口にしたのは、今し方目の前の少年から聞かされた要求。

 雪達が調査任務に赴き、警察に捕まったからとアレン達エクソシストを派遣すれば、発見されたのは新たなるイノセンス適合者のエクソシスト。
 僅か9歳ながらにして貴重な寄生型イノセンスを操り、覚醒したその場でAKUMAを二体倒したとのこと。

 そんな逸材が教団の手足となるなど、なんて大きな収穫 か。
 そう弾む胸をコムイが躍らせていたのは、ほんの数分前までだった。

 司令室に赴くや否や、この幼い少年が提案として出した条件はとんでもない内容だった。
 否、提案ではなく最早恐喝。


「盗品は全部で37個。どれも高額な品ばかりです。換金した質商は既に国外へと逃亡しており、捜すのは少々困難かと…」


 顔は真っ白。言葉も出てこない。
 まるで死刑宣告されたかのような抜け殻状態のコムイ。
 その隣に立つフェイが、つらつらと現状を述べていく。


「プラス濡れ衣させられ拘留された89名の慰謝料──」

「それと! ハースト孤児院が一ッ生金に困んないようにすること!」


 そうそう!と明るい声で付け足すティモシーは、司令室の高級ソファーに踏ん反り返り腰掛けながら、要求した特大パフェにパクついていた。
 口周りをクリームだらけにしながら、にぃんまりと笑う。


「でなきゃエクソシストになってやらないゾ♪」

「……」


 本当に返す言葉もない。

/ 2637ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp