My important place【D.Gray-man】
第42章 因果律
がっくりと頭を膝の間に埋めて凹むガルマー。
そんな彼の見慣れぬ情けない姿に、ほんの少しだけ微笑んで。それから静かに歩み寄る。
「…つーかオレ逮捕しなくていいのかよ、ガルマー。…Gだぞ?」
「呼び捨てすんな…オメーみてーなちびっこ逮捕できっかバカヤロー…」
恐る恐る問いかけてみれば、塞ぎ込んだ顔を上げることもなく力なく返される。
その力なくとも確かな否定に、問いかけたティモシーはにんまりと口角を上げた。
「…そんなら出てこっかな、オレ」
そうしてあっさりと告げられた言葉は、誰も予想していなかったもの。
「えっ!? お前今なんて…!」
「ティモシ…ッ!?」
「院長せんせーも歳だしさ。チビ共もまだまだチビだし? AKUMAとか刺激強過ぎんじゃん?」
耳を疑うような言葉に、慌ててガバリと顔を上げるガルマーと、孤児院のドアの向こうから飛び出してくるエミリア。
しかしそんな彼らの反応に臆することもなく、ティモシーは子供らしい笑みをアレンへと向けた。
「お前らの仲間になってやるぜ、黒尽くめ」
そうして迷いなく投げかけられた言葉に、アレンは目を丸くした。
誰も予想していなかった答え。
それをティモシーは一人で決めて実行したのだ。
「オレはティモシー・ハースト、9歳。イノセンスはAKUMAを武器化する"憑神"。ドカンと暴れてやるぜ、エクソシスト!」
その道を選べば待っているのは戦闘の日々。
今日のような体験をすることになるのは、ティモシーだってわかっているはず。
わかっていて、尚。
まだ9歳という幼さで堂々と胸を張り言い切るティモシーに、アレンは感心せざる終えなかった。
「──ただし、」
が。
「タダでとはぁ、いかねぇがなぁあ?」
にぃんまりと笑みを深めて笑うティモシーは、人差し指を立ててそんなことをのたまったのだった。
「………え?」
(あれ。なんか嫌な予感する)
一抹の不安をアレンに残して。