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My important place【D.Gray-man】

第42章 因果律



 酷く落ち込んだガルマーの姿を目に、中々進まないアレンの足。
 それに痺れを切らしたジジが背中を強めに押してくる。


「ほれ行った行った! じゃあな、お前らは外で待ってろ!」

「わ、ちょ…っ」


 ほれほれとジジに乱暴に押され、アレンはあっという間に孤児院の外へと追い出されてしまった。
 外で待機しているのはアレンの他に同じエクソシストである神田とマリ、そして監査役のリンク。
 マダラオとテワクは本来のリーバーの護衛に戻ったのか、静かに何食わぬ顔で彼の傍についていた。


「……ええと、(ど、どうしよう…)」


 階段のど真ん中を陣取って落ち込んでいるガルマーに、声をかけるべきなのか否か。
 とりあえず、と手持ち無沙汰にアレンは他と同様、空いた階段のスペースに腰掛けることにした。
 勿論、雪へと手が届くすぐ傍で。


「……」


 そして沈黙。


「……」

「……」


 ひたすら沈黙。


「……」

「……」

「……」


 何がなんでも沈黙。


(き……気まずい…)


 どうにも重たい空気に、自分から声をかけるべきか迷う。
 そんな空気にアレンが尻込みしていた時だった。


「………俺が原因なんだ」


 膝の上で組んだ両手をぐっと握り締め、重々しい声でガルマーが口を開いたのは。


「ティモシーの父親を逮捕した時な…俺は子供が一緒にいるのを知ってて突入したんだ」


 ちっぽけな宝石店を襲った強盗。
 事件にしてみれば、然程大きくもない。

 ただ手柄を取りたかった。
 自分の手で悪人を逮捕したかった。
 その一心で、子供のことなど考えず突入を決めた。

 結果、追い詰められた男が行動に起こしたのは、予想だにしなかったこと。
 我が子の胃袋に宝石を飲み込ませ隠す。
 信じ難い行動に、ガルマーはただただ驚愕するしかなかった。

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