My important place【D.Gray-man】
第42章 因果律
右へ左へ。
あちこち走り回ってる科学班とファインダー部隊に、恐る恐る足を向けたのはアレンだった。
「あの、僕も何か手伝」
「あん!? お前らも怪我人だろーが! エクソシストは休んでろ、此処は結界装置で封鎖してっから!」
何か手伝えることはないかと声をかければ、乱暴にジジに必要ないと返される。
任務の後処理は基本、ファインダーの仕事だ。
エクソシストの仕事は終わった。
乱暴ではあるが、彼らなりの気遣いである。
「でも…」
「仕事が欲しけりゃ雪の様子でも看てやってろ! なんだあのミイラ状態…っ何やったんだよ」
「あ、いや…まぁ…あはは…」
呆れた顔でジジが目を向けたのは、孤児院の玄関口で座らせている雪の姿。
アレン達と同様、手持ちの救急セットで応急手当は施した。
しかし体中に貼り付けられている札が邪魔して、手当て中にぶつぶつとバズが文句を言っていたのをジジも目撃していた。
口を尖らせ言えば、返されたのは苦い笑み一つ。
聞けば雪はAKUMAに襲われて気を失っただとか。
最初見た時は肝を冷やしたが、近くで見れば外傷は然程酷くない。
「じゃあ…あの。すみません、お願いします」
「ああ。ついでに其処で凹んでる警部のお守りも頼むわ」
「お守り?」
ほれ、とジジが指差す先。
其処を目で辿れば、孤児院の玄関前の階段。
その真ん中にどっかりと腰を下ろしているガルマーの姿が。
(う。)
どんよりと、傍から見ても酷く落ち込んだ空気を背負っているその背中に、アレンは思わず後退りたくなった。