My important place【D.Gray-man】
第42章 因果律
「だーッ! わーったからとっとと任務行け! つーかあんた誰だ!!!」
ぎゅうぎゅうと男四人に押しくら饅頭の如くハグを喰らったリーバーさんが、罵声を響き渡らせる。
片手でボネールさんの顎を掴んで引き剥がしながら、その顔はぞぞぞっと真っ青に染まっていた。
そりゃそうだよね、いきなりあんな厚化粧お化けに抱き付かれたら…って。
「えぇえ!? 任務!?」
「オレら直帰違うんですかぁ!?」
「ふざけんな! 絶賛人手不足なんだようちは!」
悲鳴を上げるバズ達に容赦なく突き返される言葉。
ああ…ですよね。
それ、前にコムイ室長にも言われましたもん。
アレン達は他のファインダーを引き連れていなかったし。
この任務の後処理は誰がやるんだろう…私達かな…私達がやらなきゃならない感じかなこれって思ってましたよ。
うん、わかってた。
「「……」」
「おや、こちらさんは?」
そんな罵声を飛ばすリーバーさんの数歩後ろ。
静かに気配を殺すように佇んでいる、緋色のマントと帽子、そして顔布で目元を隠した謎の人物が二人。
其処に目を止めたジジさんに、私もついまじまじと見てしまった。
誰だろう…服装は警察のものじゃないし。
リーバーさんの傍にいるなら教団関係者?
普通の人の気配には思えないけど…あの緋色のマント、少し鴉の緋装束に似てる気がする。
「ああ。護衛だって。俺の」
「リーバーさんの?」
「フェイ補佐官が手配してくれたらしくて」
「ふーん…このノリの悪い感じは…さては中央庁組だな?」
「コラ。そういうこと言うなジジ」
確かにジジさんの言う通り。
私達が興味を向けても、一切自己紹介も何もせず静かにその場に佇んでいるだけ。
顔は見えないけれど、一人は男性。
もう一人の小柄なシルエットは…多分、女性だ。
「とにかくガルマーって警部には話をつけてきたから。身形整えたらアレン達の任務に同行するぞ」
「よくあの警部を説き伏せられましたね…」
「…割と頑張った」
あ、そうなんだ。
思わず呟けばその努力を思い出しているのか、しみじみとした顔でリーバーさんが頷く。
やっぱりガルマー警部は手強かったらしい。