My important place【D.Gray-man】
第42章 因果律
「にしても…雪までそんな格好をしてるとはな…」
「…教団の皆には黙っていて下さいね」
そのしみじみとした目が私へと向く。
珍しいものでも見る目で、頭から爪先まで伺うのは怪盗Gのコスプレ衣装。
こんな姿、ラビなんかに知られたら絶対笑われる。
心を込めて頼み込めば、苦笑混じりに返事一つでリーバーさんは了承してくれた。
やっぱり素敵に大人な対応だなぁ、この人は。
「じゃあ着替えに出──」
「待って!」
外へと促そうとしたリーバーさんを止めたのは、高らかなようで野太い声。
一斉に振り返った私達の視界に映ったもの。
それは胸に片手を当てて、ほぅ…っと熱い吐息をつくボネールさんだった。
「アタシも…アタシも連れてって…!」
あ。
なんかこれカリオストロの台詞に似てる。
「貴方と一緒にイきたいの…!」
「…はい?」
切なそうに眉を寄せて、分厚い唇を震わせ請う。
なんか「行く」の発音が違うような気がするけど…まぁいいか。
それよりこの乙女と化したボネールさんが問題だ。
「一目惚れなの…! お願い、アタシも連れてって…! ファインダーの仕事、まだ上手く出来ないかもしれないけど…きっと覚えるから!」
…それ、丸っきりクラリスの台詞。
わかる人にしかわからないけど。
どう聞いても名場面での台詞だから。
ルパンがクラリスの心を盗む大事なシーンだからそれ。
オカマさんが聖なるシーンを汚しちゃ駄目です。
というかボネールさんの好み顔ってリーバーさんだったんですね。
「お願い! アタシ…アタシ…ッ」
「いや…ちょ…急にそんなこと言われても──」
「貴方が好きなのぉおおおお!!!!!」
「うわぁあああああ!?!!!」
キラキラと輝いて宙を舞う筋肉美。
真っ青な顔したリーバーさんの上にふっと影がかかって──…あ。
どちゃんっと、押し潰すように落下した。
こうしてめでたく、ボネールさんの黒の教団への入団は決まったのだった。