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My important place【D.Gray-man】

第42章 因果律



 聞こえた声は、教団で働いてる者なら誰でも一度は聞いたことのある声。
 それは厳しく職場の研究室で取り締まる時の声や、優しく労働者を労う温かい声や…コムイ室長を殺さんばかりの罵声。

 色々あれど、とにかくよく馴染んだ声だった。


「此処の警部、頑固で手間取った」


 そう、独房のガラス越しに向こう側から軽く片手を挙げて笑いかけてくる──


「よ。凄い格好してんな」

「リッ…」

「「「リーバー班長ぉぉおおおお!!!!!」」」


 我らが黒の教団科学班第一班班長、リーバー・ウェンハム。

 その人が、其処に確かに立っていた。
 見慣れたくたびれた白衣姿じゃなく、スーツにコートと外出時の出で立ちで。

 ユウの本部連絡を受けて、迎えに来てくれたんだ…!


「悪かったな、遅れて」


 少し申し訳なさそうに眉を下げて、労うように声をかけてくる。
 透き通るようなグレーの優しい瞳。
 金髪に近いミルクティーブラウンの髪と、同色の整ったお洒落な顎鬚。
 端整と言うには少し異なるけれど、それでも充分整った、何よりも温かい笑みが似合う顔。

 今の私達には正に王子のような人だ。


「思ったより元気そ」

「はうんっ!!!」


 ほっとしたように笑うリーバーさん。
 の、姿を遮ったのは宙を舞う筋肉質な体。

 ガシャアンッ!とその場に響き渡るガラスの割れる音──…え!?
 あの分厚いガラスが割れた!?


「好・き!!!!!」


 それを成したのは、宙を飛んだ屈強な筋肉の持ち主だった。
 突撃した勢いでガラスを割ったかと思いきや、そのまま向こう側に立っていたリーバーさんに真正面から抱きつく。

 ハグという名の最早タックル。


「ボ…ボネ」

「リーバァアア! 心の友よぉおお!!!」

「オレっ! 来てくれるって信じてましたぁあああ!!!」

「あんた神だ! オレもう科学班のことインテリとか言わねー!!!」


 思わず呼びかけた声は遮られた。
 後から続くジジさん達の涙と鼻水混じりの抱擁の群に。

 抱擁という名の最早拘束。
 リーバーさん、真ん中で揉みくちゃになってる。

 ………大丈夫かな、あれ。

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