My important place【D.Gray-man】
第42章 因果律
「あんた達、戦争やってる割には楽しそうねぇ」
流動食を流し込みながらジジさん達を傍観していたら、今まさに頭に浮かんでいた単語をしみじみと口にする声が隣から聞こえた。
目を向ければ、いつの間に其処にいたのか。同じく獄中飯を口にしながら椅子に腰掛けてるボネールさんの姿。
「楽しそうと言うか…割と明るい職場ですよ、うち」
「あらま。そうなの?」
軽く笑って返せば、ばっさばっさと長い睫毛を瞬いてボネールさんは意外そうな顔をした。
"戦闘組織"なんて名だけ聞けば、軍隊みたいな想像をしても可笑しくはないけど。
戦争をしてる相手が特殊なだけに、組織で働いてる団員も色々と特殊な人が多い気がする。
それはエクソシストっていう体質だけじゃなく、性格も諸々含めて。
「そうだ、ボネ姉さん一緒に来ません? この筋肉絶対なんかやってたでしょ」
「あ、それオレも思ってたんですよね! ボネール姉さんならきっと良いファインダーになれますよ!」
興味深そうに目を向けてくるボネールさんを、唐突に勧誘したのはジジさんだった。
確かにゴズの言う通り、ボネールさんの腕前なら良いファインダーになりそうだけど…。
「やーよ、化け物と戦争なんか。アタシはラブに生きんの~」
そんな勧誘には興味なさげに、ボネールさんは獄中飯を口にしながらそっぽを向いた。
…だよね、やっぱり。
AKUMAと戦ってる戦闘組織なんて聞かされてたら、普通は入りたいだなんて思わない。
「それならうちで相手見つけりゃいいじゃないっすか。アレン達のこと割と気に入ってたっしょ」
「確かにあの子達は可愛い顔してたけど、アタシの好みじゃないのよねぇ」
あれ、そうなんだ。
アレンもユウも顔立ちは良い部類に入る方。
だけどボネールさんはどうやら好みの形態が違うらしい。
…ボネールさんの好みってどんな人なんだろ。
「それに綺麗顔のあの子は、雪ちゃんの大事な人だものね?」
ばちん。
そんな効果音が付きそうなウィンクをボネールさんに向けられて、思わず一瞬獄中飯が喉に詰まりそうになった。
トロットロの流動食が喉に詰まるなんてないけど。
詰まりそうになったんです、意識的に。