My important place【D.Gray-man】
第42章 因果律
「ん? まだ生きてたの?」
「あんちゃん…!」
じろりと、一つ目お化けの目があんちゃんに向く。
だ…駄目だ。
こいつの目は確か、人を生きた人形にするって…っ
「破壊はできんが、お前達を退かせることはできる!」
それはあんちゃんも感じていたのか、素早く身を翻すと服の袖から一枚の札のような物を取り出した。
ぐしゃりと握り潰すと、拳から腕まで一気に服が裂けて蒸気のような煙を吹き出す。
なんだあれ…!?
「術以って力とし・技以って解放し・心以って拳と成す」
「この野郎がッ!」
「くそっ速ぇ…!?」
大きな体で左右から挟み撃ちするAKUMAの間を、すり抜けるように飛躍する。
その口からは、意味のわからない言葉を発して。
一直線にあんちゃんが突っ込んだ先は、睨むように目を向けている一つ目お化け。
「息を止めなさいティモシー!」
「むぐっ!?」
自分から息を止める前に、いつから傍にいたのか。急に目の前に現れたティムキャンピーが、オレの口に蓋をするようにピタリとくっ付いた。
「秘術"黒羽焰気(くれはえんき)"!!!!」
同時にあんちゃんが一つ目お化けに向かって、札を握り潰した拳を突き出す。
するとそこから炎の渦が火を噴いた。
ゴゥッ!と熱い熱気が周りの空気を焼く。
炎の渦は一つ目お化けを中心に、周りにいた巨大なAKUMA達にも引火していた。
「うぉ熱ィイイ!?!!」
「ぎゃぁあ!!!」
ゴウゴウと鳴る炎の音に混じる、AKUMAの悲鳴。
赤くて眩しい世界。
あまりの熱さに肌が焼けるようだった。
そして強い熱風と衝撃波。
壁をぶち破るような爆発音が響いて、体を巻く布紐が一気に緩む。
そのままオレの体は真後ろに吹き飛ばされた。
そして一瞬のうちに、目の前が引っくり返って真っ暗闇へと変わってしまった。