My important place【D.Gray-man】
第42章 因果律
「あ…あんちゃん! あんちゃん! 放せぇバカヤロー!」
「煩いなぁ。あんまり騒ぐとその口縫い付けちゃうよ」
「ッ…!」
6秒間見たものを硬まらせるって言ってた。
それをオレにする気はないのか、一つ目お化けの星マークの目はオレには向かない。
向いてはいないけど…オレの体を縛る布紐がギシリと強さを増して、思わず言葉は止まってしまった。
怖い。
オレも殺される?
パメラみたいに…この玉の所為で?
AKUMAってなんだよ。
千年伯爵ってなんだよ。
そんな訳わかんねぇモンに、なんでオレの居場所を壊されなきゃなんねぇんだ…!
「ゃ…やだ…嫌、だ…ッ」
「はいはい。ガキはガキらしく大人しく震えてなよ」
どうにか搾り出す悲鳴。
だけど体はガタガタと震えて、大きな声も出ない。
大きな声を出したら殺されるかもしれない。
でも助けを求めなきゃ、このままじゃAKUMAに連れていかれてしまう。
どうしよう。
どうしよう。
このままじゃ…!
「簡単な仕事だったなぁ~」
「これで出番終わりかよ? オレ何もしてねー!」
ゲラゲラと後ろで笑い声を上げる巨大なAKUMA。
さっきからこの状況を楽しんでいるようにしか見えない。
人の命を奪ってるっていうのに。
なんだこれ。
これが"兵器"って呼ばれる理由なのか?
「じゃあ次の仕事の時はお前にゲブッ!?」
「なんだ!?」
大きな機械の体を揺らして、ゲラゲラと笑っていたAKUMA。
そいつの顔が一瞬にして、勝手に通路の壁にめり込んだ。
「黒服ではないが"黒い羽"は持っています」
違う。勝手にめり込んだんじゃない。
外の真っ暗な穴から飛び出してきた"それ"が、AKUMAの顔を蹴り返したんだ。
あちこち服は破けてるけど、ちゃんと生きてる。
金髪のホクロ二つのあんちゃん。