My important place【D.Gray-man】
第42章 因果律
どんなに暴れようとしても、縛られた布紐でビクともしない。
「嫌だ! 放…っ」
「その子を渡す訳にはいきません!!!」
「え…っ?」
もがこうとしていた体が止まる。
後ろから届いた鋭い声。
この声…っホクロのあんちゃん…!?
首だけなんとか振り返って見えたのは、服の袖から大きなナイフを出して駆けてくるあんちゃんの姿だった。
あのあんちゃんの強さは、体を乗っ取ったオレがよく知ってる。
あんちゃんならこの化け物も倒せるかもしれない…!
「あ、あんちゃん!」
「ティモシー! 待ってなさい今助け」
「なんだ、黒服じゃねぇのか」
ずる、と。通路の天井から這い出るように落ちてきた巨大な影が、あんちゃんの姿を遮った。
「エクソシストじゃねぇただの人間じゃあ死んじゃうぜェ!!!」
「ぐ…ッ!?」
「あんちゃん!?」
オレの視界を遮ったのは、また見たことのない別の生き物だった。
機械のような手足を持つ、この一つ目お化けより遥かに巨大な体。
天井の壁から這い出てきたかと思えば、機械染みた足が壁を突き破った。
ゴギャッと嫌な音がして壁に大きな穴が空く。
見えたのは、外の真っ暗な世界。
今、あんちゃんの悲鳴が聞こえたような…もしかして今の蹴りでやられた…!?
「ぎゃはははは! 呆気ねぇなァ!!」
「実は三体キテまーす♪」
ずるずると、今度は通路の床から這い上がってくる別の影。
機械のような変な生き物と同じくらい、巨大な体。
でもその風貌は大きな兎の着ぐるみのような、もこもこした姿をしていた。
なんだこいつら…ッこいつらもAKUMAって奴なのか!?
「ただの人間如きが、ボクらAKUMAに敵うと思ってんの?」
目の前の一つ目お化けが、やれやれと溜息混じりに呟く。
AKUMAって…やっぱりこいつら全員、AKUMAなんだ。