My important place【D.Gray-man】
第42章 因果律
「成程…妙に守備がいいと思ったら、ブローカーが混ざってましたか」
ブローカー?
壁に隠れたホクロのあんちゃんが口にしたのは、知らない名前だった。
なんだ、ブローカーって。
それ、パメラのこと言ってんのか?
「金銭と引き換えに"情報"とAKUMAの"材料"となる人間を提供する存在。千年伯爵と取引する人間。自ら進んで悪魔に飼われた罪人…加護対象外ですね」
「加護? はっ! 知るか! あんた達が勝手に伯爵と戦り合ってるだけだろ!」
ホクロのあんちゃんの言葉を一切否定しない。
ってことは、パメラがそのブローカーっていう存在なのは本当のことらしい。
なんだよ、悪魔に飼われた罪人って。
まさか…パメラはあのAKUMAとかいう生き物側の人間だってことか?
「あたしはただおこぼれを頂いてるだけ──」
バキンッ
急にパメラの声が止まった。
同時に、関節を折るような嫌な音が鳴る。
「な…な、に…?」
めき、めき、めき。
院長先生の時と同じだ。
無理矢理に関節を捻じ曲げてるような、そんな嫌な音が鳴る。
「体が…動か、ナ…!」
「レベル2。ダークマター」
パメラの体が硬直するように動かなくなる。
緩んだその腕の隙間から顔を抜け出すより早く、オレの体にしゅるしゅると巻き付く変な黒い布紐。
あの白髪のあんちゃんが操ってた白くて長い布紐に似てる。
なんだこれ…外れねぇ…!
というか今、パメラの声を遮ったの誰だ?
知らない声だった。