My important place【D.Gray-man】
第42章 因果律
「院長先生…! 皆…ッ!」
「! 待て…!」
オレの後ろにいたエミリアが、悲鳴のような声を上げた。
多分、院長先生に駆け寄ろうとしたんだろう。
あんちゃんの止める声に振り返った瞬間──
パンッ!
「ッ!? エミリア…!?」
エミリアの肩から、真っ赤な血が飛び散った。
「エミリア! んぐっ!?」
なんだ!? 銃撃!?
慌てて駆け寄ろうとすれば、急に後ろから誰かに顔をホールドされて押さえ込まれた。
ガガガガッ!!!
立て続けに起こる激しい銃撃音。
なんだ、誰だ…!?
「レベル4だけではなかったか…! だが今のはただの銃撃…AKUMAじゃない…!?」
AKUMAじゃない?
銃撃って、やっぱりエミリアは撃たれたってことなのかよ。
ホクロのあんちゃんの声に目を向ければ、エミリアを抱いて壁の向こうに身を隠す姿が見えた。
今の銃の乱射は当たってないのか…よかった。
でも一体誰が──
「あんた…!?」
顔をホールドされたまま見上げた先。オレを押さえ込んでいるその人物に驚いた。
それはオレのよく知る人物だったからだ。
「パメラ…!? 何を…!」
オレを片腕で押さえ込んで銃を構えている人物。
それはこの孤児院のシスターの一人、パメラだった。
なんで…シスターのパメラがエミリアを攻撃するんだ…!?
信じられない顔で見上げていれば、パメラの目がオレへと向く。
そしてその口は、にぃっとつり上がって笑った。
「皮肉じゃないか、泥棒小僧。自分が盗られる側に回るなんてねぇ…ふふ」
何言ってんだ?
泥棒小僧って…オレのことを怪盗Gだって、黒の教団の奴らが言ったこと信じてんのか?
「ちまちまAKUMAの材料を提供すんのとは桁違いの報酬だよ。こんなお宝が近くにいたなんて。教えに来てくれたエクソシストに感謝しなくちゃねぇ」
AKUMAの材料?
桁違いの報酬?
なんでパメラは当たり前にエクソシストやAKUMAの名前を呼んでるんだ。
…もしかして、
「テ、メェ…!」
まさかパメラは、全部知っていた?