My important place【D.Gray-man】
第42章 因果律
「リンク! 僕が方舟のゲートを作るから、皆を其処へ!」
「駄目です、ウォーカー。"奏者"としての君には制限が定められたのを忘れたのですか」
院長先生とチビ達を地下に逃がして、オレとエミリアも続こうとした時。その引っ掛かる言葉に、つい足が止まってしまった。
「〝"奏者"の能力の使用は中央庁と教団本部が認証した場合のみ許可される〟君の独断でゲートを作ることは反逆行為と見做されます」
「はぁ!? バッカじゃないの! そんなこと言ってる場合じゃないでしょ! 女性と子供をこんな所に置いとけないし、狙われてるティモシーも子供なんですよ!?」
「馬鹿らしかろうが規則は規則です! 自分の立場をこれ以上悪くしたいのですか!」
……え、ちょっと、待って。
狙われてる? オレが?
………何に?
「知るか。立場なんて充分悪いもん」
「あっコラ!」
暫く睨み合っていたかと思えば、先に口喧嘩を放棄したのは白髪のあんちゃんだった。
くるりと背を向けて、額に指先を当てる。
でもその方舟のゲートってのがなんなのかより、オレには聞き逃せない重要なことがあった。
「ちょっと待って! なんでオレ狙われんの!? あの天使みたいな人形は何!?」
人形のような、変な生き物。
あれが生き物かどうかもわからない。
わからないことだらけで、頭の中は不安ばっか。
咄嗟にホクロのあんちゃんの腕にしがみ付けば、その目はすんなりとオレに向いた。
「君の額の玉がイノセンスかもしれないからです」
そして迷わず告げられたのは、嘘みたいな話。
「イノセンスは"AKUMA"と呼ばれる兵器を破壊できる、唯一の物質。だから奴らはそれがエクソシストの手に渡るのを阻止しようとする」
エクソシスト…って、さっき聞いた。
この白髪のあんちゃん達のことだ。
黒の教団って所で働いてる、聖職者とかなんとか…。
イノセンスは、その黒の教団って所が探している物質だって言ってた。
…この額の玉がそれだって?
………あと……アクマってなんだ。
悪魔? そんなの聖書内だけでの話だろ。
架空の生き物だ。
大体、なんで悪魔が"兵器"になんてなるんだよ。
全く意味がわかんねぇ。