My important place【D.Gray-man】
第42章 因果律
「いたいよぉ…エミリアぁ…」
「いんちょおせんせぇ~…」
あの泣き声…チビ達の声だ…っ
泣き声はこの部屋の扉の向こう側から。
あいつらまた、こっそり客間を覗き見してたのか。
じゃあ…まさかさっきの衝撃で怪我したんじゃ…!
「子供が…!」
慌てた様子で白髪のあんちゃんが立ち上がった時だった。
目で追いつけない程の速さで、あの真っ白な生き物が扉の向こうのチビ達に突撃したのは。
ぞわ、と寒気がした。
嫌な予感しかしない。
チビ達に何する気──
ゴキンッ!
嫌な音が鳴り響く。
その突撃を止めたのは、目の前にいたはずの白髪のあんちゃんと、あの女みたいな顔のあんちゃんだった。
「出やがったなレベル4!」
やっぱりオレの目じゃ追いつけない速さで、真っ白な生き物の頭を同時に蹴り落とす。
関節をやったような、そんな嫌な音を立てて床に衝突したそいつを、女顔のあんちゃんは"レベル4"なんて変な名前で呼んだ。
なんだそれ…?
「"聖人ノ詩篇(ノエル・オルガノン)"!」
疑問に思うことは沢山あったけど、問いかける暇なんてなく。
そのレベル4って奴を今度はヘッドホンを付けた大柄なあんちゃんが、糸みたいな変な紐で縛り上げた。
どうやらレベル4って奴は、あんちゃん達にとって敵らしい。
チビ達を襲おうとしたんだ、見た目は天使に似てても中身は全く違うもんだと流石にオレにもわかった。
でもなんなんだよ一体!
「今のうちに地下室へ逃げなさい!」
「え、ええ…さ、皆落ち着いて…! 地下室へ行きましょう…!」
ずっと黙って白髪のあんちゃんの傍にいた金髪のホクロのあんちゃんが、急かすように院長先生に逃げるよう促してくる。
…ってことは、こいつらはオレ達には味方のようなもんなのか?
……でも黒の教団とかいう変な所にオレを連れて行こうとしていた。
こいつらはオレにとって敵なのか、味方なのか。
よくわからない。