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My important place【D.Gray-man】

第41章 枷



 よくよく見れば、その震えは両手だけじゃなく雪の縮まった体全体で起きていた。
 小動物みたいにぷるぷる震えるその原因は、すぐにわかった。

 暖房も完備していないこんな独房の中じゃ、今の季節、底冷えして当たり前だ。
 これだけ大勢の囚人で溢れているから、その密集した体温で室内温度を保っていたんだろう。
 だが普通に考えりゃこんな薄い毛布で暖が取れるはずもない。


「あはは……このGのコスプレ衣装、ファインダーのマントより寒いんだよねぇ…」


 ふるりと首筋を震わせ竦め、雪が苦笑する。
 道理で他の囚人連中は、身を寄せ合って固まって寝てる訳か。


「やっぱり毛布だけじゃ駄目だったかな…よいしょ、と」

「? 何処行くんだよ」

「暖取りに。ジジさん達の間に挟まっていればあったかいから」


 さむさむ、と言いながら毛布を抱えた雪が鼾をかいているジジ達の所へ──…待て。


「おい」

「うっ?」


 咄嗟にその毛布を柵の隙間に押し込んだ手で掴めば、引っ張られた雪が足を止めて振り返る。


「何?」

「やめろ」

「やめろって…何が」

「野郎共と肌を重ねて暖なんて取んじゃねぇよ」


 俺への当て付けか。


「そんなこと言ったって…それじゃあ寒くて寝れないよ」


 俺の言い分は理解できたらしく、それでも眉を下げて雪は首を横に振った。
 その言い分も理解はできる。
 どうせ今までそうやって独房で寝ていたんだろうし、今更な気もするが…これは俺の気持ちの問題だ。

 わかっていても、だからってみすみすあんな揉みくちゃになってる野郎共の密集地にお前を放り込めるかよ。

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