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My important place【D.Gray-man】

第41章 枷



「それよりお前はさっさと寝ろ。もう深夜だぞ」

「…ユウは起きてるの?」

「ああ」

「ああ…って。朝には怪盗G捕獲に向かうんでしょ? 体休めないと…」

「一日二日寝なくたって平気だ。お前なら知ってんだろ」

「……」


 こいつは俺の体のことを知っている。
 再生能力の高い俺の体は生命維持機能も高い。
 数日寝なくたって早々体が鈍ることはない。
 それを理解したのか、それ以上雪は何も返さず大人しく口を閉じた。


「だからお前は寝てろ。ただでさえやつれてんのに、更に酷い顔になんぞ」

「え。そんな酷い顔してる?」

「鏡見て確かめろ」

「…この独房の中、鏡ないんです」

「……」


 …恐らく、凶器になるような物は置かないようにしているんだろう。

 観察するように、硝子に映った自分の顔と睨み合う雪を見る。
 そこまで"酷い"と言う訳でもねぇが、確かにその顔は多少なりともやつれていた。

 …独房で何日も過ごしてりゃそうなるか。
 飯だってまともに食えたもんじゃないと、ジジ達も嘆いていたし。


「いいから寝ろ」


 再度雪に声をかけて、廊下に設置されている長椅子に腰を下ろす。
 時刻はすっかり深夜。
 見張りの看守だってうつらうつらと船を漕いで──……大丈夫かこの警察署。
 こんなだから、Gなんてふざけた怪盗に何度も出し抜かれてんじゃねぇのか。

 思わず溜息をつけば、毛玉の立った小汚い薄い毛布で体を包みながら、柵に背中を預けて座り込む雪の姿が見えた。
 ちょこんと縮まる姿はいつもより小さく見える。


「……」


 辺りをぐるりと見渡してみる。
 ぎゅうぎゅうに押し込まれた囚人達で溢れた独房の中は、どこも死んだように床に転がって寝ている野郎共で埋め尽くされていた。
 至る所から鼾が上がる。
 その中にはジジ達ファインダーや、あの女男の寝姿もあった。

 ………よくこんな所で寝てられたな、こいつ。

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