My important place【D.Gray-man】
第41章 枷
「そんな一方的に切らなくても…」
「あいつと話してたって平行線なだけだ」
「そうやってすぐ放棄するから、喧嘩になるんだよ。もう少しだけでいいから、言葉を交わす歩み寄りってものをすればアレンとも仲良く──」
「却下」
「……」
元々あいつと仲良くなんてする気は到底ない。
電源をOFFにしたゴーレムを団服の中に押し込みながら、雪の言葉も遮断する。
目の前に広がるのは、地下独房の柵と硝子。
此処はパリ警察署の独房の廊下。
体の手当てを終えると再び独房の中へと押し込まれる雪を前に、マリ達の所に戻る気は起きず此処にとどまることを決めた。
あのルパンって猿野郎は逃げ去ったが、再び此処に現れない保障はない。
雪もあの銭形ってデカも、もうルパンは現れないだろうと言っていたが俺は納得できなかった。
"絶対"なんてもんはねぇだろ。
それでもしまたあの猿が、雪に変なちょっかいかけに来やがったらどうすんだ。
…もしまた俺に化けてキスなんざふざけたことしやがったら。
つい数十分前に告げられた、雪のその言葉を思い出すだけで腹が立つ。
今度会ったら、あのふざけた口を六幻で削ってやる。
大体、エクソシストとしての目的は怪盗G捕獲だが、俺がこの任務に同行した一番の目的は雪の安否確保。
それを優先して何が悪い。
別にGへの任務を怠ってる訳でもねぇだろうが、相変わらずいちいち噛み付いてくる、煩いモヤシだ。
「はぁ…こうなる結果は見えてたから、私がアレンと連絡取ればよかったかな…」
「却下」
「なんで」
「お前が話せば、僕も行きますとか言い出し兼ねないだろ」
あのモヤシのことだ、雪のことを気にかけて警察署に足を向けるに決まってる。
それが面倒で、大した説明もせずさっさと通信を切った。
誰が好んでモヤシと並んで此処で一泊なんてするかよ。