My important place【D.Gray-man】
第41章 枷
「あの、ユウ…手、放して…欲しいんだけど…」
怒ってるようには見えない。
それなら頼めば私の言うことを聞いてくれるかもしれない。
その願いを込めて解放して欲しいと頼み込めば、返事はなく。
代わりに再び近付いた顔が、私の視界を埋め尽くした。
重なる唇。
今度は、さっきより深く。
「…ん…っ」
隙間なく重なる唇に、ひたりと温かい舌が押し付けられる。
ノックするように舌先でつつかれて、どうしたらいいかわからず固まってしまった。
変に刺激して怒らせたくないから、抗えないけど…でも此処警察署の中だから。
薄い扉一枚隔てた向こう側には、ガルマー警部や銭形警部や他警察の方々が沢山いる。
そんな場所でこんなこと…
「ュ、ゥ…待っ…んぅ…ッ」
止めようと声を漏らせば、その声ごと飲み込まれるかのように口を覆い塞がれた。
ぬるりと柔らかく温かい舌が滑り込んでくる。
触れずにいる箇所を残さないと言うかのように、隅から隅までユウの舌が舐め回していく。
歯列をなぞり押し開いて、柔らかく敏感な舌の裏側をねっとりと這う。
思わず顎がひくりと上がれば、舌先を吸われて体が震えた。
ぜ、絶対まずい気がする…これ駄目だって。
今は仕事中。
すぐ傍には警察もいる。
こんなことしてるのがもし見つかったら。
そう脳内では警告しているのに。
唾液ごと吸われて舌を絡め取られると、ゾクゾクと与えられる覚えのある刺激に体は従順に反応してしまった。
口元が緩む。
受け入れてしまう行為に、更に口付けの深さは増す。
絡まって流し込まれる唾液。
思わずこくりと嚥下すれば、飲み込め切れなかったそれが唇の隙間から溢れて肌を伝った。