My important place【D.Gray-man】
第41章 枷
唯一自由な右手で、目の前の団服を縋るように掴む。
「ふっ…ん、ん…ッ」
少し息苦しい。
いつもなら時折唇を解放して、呼吸の隙を与えてくれるのに。
そんな様子を見せないユウの唇は、時々息つくように微かな隙間を開けながらも私の口を捕らえたまま離さない。
苦しいのに与えられる刺激は気持ちよくて、脳内がびりびりと甘く痺れてくる。
微かに鼻を掠める苦み。
喫煙所であるこの部屋を覆っている、煙草の匂い。
その匂いに包まれながら口付けられる行為は、ルパンのそれと似ていたけれど……違う。
やっぱり、違う。
こんなにも私の体を熱くさせて、こんなにも頭を痺れさせるキスができるのはユウだけだ。
くちゅ、と粘膜が擦れ合う音が小さな部屋に響く。
合間にくぐもって耳に届く、私とユウの吐息。
自ら進んで応えられはしないけど、柔らかく押し入ってくるユウの舌を受け入れた。
手首を掴むユウの手に、僅かに力が入る。
鼻を掠める苦みなんて気にならない程、目の前の熱に頭と体が揺さぶられる。
思考回路が上手く回らなくなって、息苦しさと気持ちよさの狭間で翻弄され続ける。
ああ、駄目だ。
背筋を伝うように下半身へと落ちた疼きが、体の芯をじんと熱くさせた。