My important place【D.Gray-man】
第41章 枷
ルパンのその言葉は、嘘じゃない。
きっと彼の本音だ。
それがわかったから、それ以上何か問いかけることはできなかった。
…もしこの人が私の愛する人だったなら、きっと迷いなく告げられていただろうな。
私が抱えている、誰にも言えない真実を。
すんなりとそんな思いが私の心を満たしてくれたから。
これ以上、彼に何も問いかける必要はなかった。
「…幸せ者だね、不二子ちゃんは」
「……自分は幸せじゃねぇって言うのか?」
「そうじゃないけど…」
…私も、ユウに伝えようと思ったから。
そう思えたから。
でも…今ルパンに感じたような確固たる確信はない。
私が抱えているものを曝した時、敵も味方も関係なく受け入れてもらえるのか。
そればかりは、わからなかった。
「……」
「…雪」
思わず黙り込んで視線を地面の雪へと落とす。
そんな私を、ルパンが呼ぶ。
優しい声で。
顔を上げれば、頬に触れていた手がぽふりと頭を撫でた。
「お前さんが何を抱えているかオレは知らねぇし、もうそれを聞く時間も残ってない。けどよ、オレの知ってる雪は泥棒に大事なもん盗まれたからって、ただ嘆くだけの女じゃなかった。男に頼らず、自分の力で取り返そうとしていた女だ」
だから、と付け足してルパンは頭の手を離すと腰を上げた。
両手をポケットに突っ込んで、私を見下ろしひとつ笑う。
「そんな暗い顔しなさんな。なぁに、壁なんてのは越える為にあるんだぜ」
私が何を抱えているのか、知りもしないのに。
飄々と笑って告げられるその言葉は、何故かすんなりと私の心に舞い込んだ。
「ルパン…」
まじまじと見上げれば、にひりと笑う。
彼らしい笑顔で。
その笑みに、なんだか体の力が抜けるような気がした。