My important place【D.Gray-man】
第41章 枷
「……別に、大層な考えなんて持ってないよ。あの時も言ったけど。ユウが真っ直ぐな思いで抱えていたものだから、私も大事にしたいと思っただけ」
そこに複雑な理由なんてない。
根本は至極シンプルな想いだけだ。
真っ直ぐにルパンを見て言えば、私の顔を映した茶色がかった瞳が柔らかく細められた。
「…良い女だよ、お前は」
そしてその柔らかい曲線を描いた口から発せられたのは、思いもしなかった褒め言葉。
「………何、急に」
あまりに唐突で率直な褒め言葉に、つい素っ気無く返してしまう。
…というか素直に照れた。
なんでそういう優しい顔で言うのかな…恥ずかしいんだけど。
「言葉通りの意味さ。お前は良い女だ、雪」
だからそんなにはっきり言われると照れるんだって。
不二子ちゃんのことといい、女性に対して軽いことも多いけど、真っ直ぐな思いもちゃんとルパンは抱えているから。
だってあんなにあっさり出し抜かれて宝を横取りされようとしているのに、裏切りは女のアクセサリーだって許してしまうんだから。
器が大きいというかなんというか…やっぱり外見だけじゃなく、不二子ちゃん自身を好いているんだろうな。
「…ねぇルパン。一つ聞かせて」
「その質問は二度目だぜ?」
「いいでしょ。別れ際くらい」
…純粋に疑問が沸いたんだと思う。
私が抱えている、誰にも曝していない秘密。
"ノア"であるという真実。
不二子ちゃんの裏切りとはまた違うけれど、教団側の人間からしたら私の存在はある意味"裏切り"とも取れるもの。
この器の大きな大泥棒なら、どうするのか。
きっと純粋に知りたかったんだと思う。