• テキストサイズ

My important place【D.Gray-man】

第41章 枷












「──ふぅ、危ねぇ危ねぇ。やっぱ怖ぇなぁ、雪の恋人は」


 パチパチと焼け崩れた車から上がる炎。
 その茜色に近い光に照らされながら、目の前に立つルパン。
 柔らかい雪の上に座り込んだまま、そんな彼を見上げる。


「まぁ割と面白かったぜ、ここ数日のこと」

「はいはい…それより早く逃げなくていいの?鬼が向かってきてるよ、こっちに」

「…そうだな。このままじゃあれに殺されそうオレ」


 あの爆発から間一髪抜け出すところは流石だけれど。
 …でも多分あの鬼が此処に辿り着いたら殺されますよ。

 遠目に見えるユウに視線を向ければ、同じく顔を向けたルパンがしみじみとぼやく。
 命の危険性は感じてるんだね。


「ルパン、行くぞ!」

「ああ」


 先に駆け出す次元と五ヱ門に声だけかけて、再び私へと視線が向く。


「どうやらここでお別れみてぇだな」

「…何そのしんみりした言葉。ルパンらしくない」

「そうか?」


 いつもの軽い口調じゃなく、真面目に聞こえる静かな声。
 いつもいつもふざけてばかりいた彼には似つかわしくなくて、つい素っ気なく返してしまった。
 なのに目の前の顔は優しい笑みを浮かべたまま。


「雪があの男をどんな想いで見てるのか、全て把握した訳じゃねぇけどよ」


 不意に屈む体。
 顔の距離が近付く。


「そういう想いの形もあるもんなんだなって、学ばせてもらった」


 "そういう"と言ったルパンの目が、私の左手首にはめられた数珠を映す。
 それって……枷のこと?

 そういえば枷だって言ったら、"それでいいのか"って問いかけてたよね。
 確かに…普通恋仲で持つようなものじゃないのかもしれないけど。

/ 2637ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp