My important place【D.Gray-man】
第41章 枷
「それよりお前、何簡単に騙されてんだよ。あんなコソ泥に」
最後の絆創膏を貼り付けた手が、終わりだと言うかのようにペシンッと腕を叩く。
力は入ってないけど、傷の上叩いたら痛いから。
やめて下さい。
「だって…警察署の人達を騙すくらい完璧だったんだよ。ルパンの変装」
「俺とあいつのどこが似てるってんだよ」
「…ユウも一度見てみればわかるよ」
本当そっくりだったんだから。
捲っていた袖を元に戻しながら、目の前の鋭い瞳と視線を合わせる。
爆発に巻き込まれたと思えたルパン達は、流石修羅場を幾つも潜ってきた大泥棒一味と言うべきか。
間一髪爆発する車から脱出して、その体を煤汚れにするくらいで済んでいた。
でも追いかけてくる銭形警部達に、足である車を壊されてゆっくりする暇もなく。
『どうやらここでお別れみてぇだな』
そう私に笑いかけて、ルパンは夜の闇へと消えた。
…って言うと恰好良いけど。
正しくは銭形警部に追いかけられて、スタコラさっさと逃げ出した。
颯爽と人を騙して逃げる姿も様になるけど、ああいうどこか抜けた姿もルパンらしいなぁと思う。
ここ数日彼と一緒にいて、なんとなくルパン三世という人のことを知れたから。
「あいつに情が移って判断力が鈍ったんじゃねぇのか」
「そんな訳ないでしょ」
…確かにルパンに対して負の感情だけ抱いているかと言えば…嘘になるけど。
でも情なんて──
「……」
…………ない、とは言い切れないかもしれない。