• テキストサイズ

My important place【D.Gray-man】

第41章 枷



「それよりお前、何簡単に騙されてんだよ。あんなコソ泥に」


 最後の絆創膏を貼り付けた手が、終わりだと言うかのようにペシンッと腕を叩く。
 力は入ってないけど、傷の上叩いたら痛いから。
 やめて下さい。


「だって…警察署の人達を騙すくらい完璧だったんだよ。ルパンの変装」

「俺とあいつのどこが似てるってんだよ」

「…ユウも一度見てみればわかるよ」


 本当そっくりだったんだから。

 捲っていた袖を元に戻しながら、目の前の鋭い瞳と視線を合わせる。

 爆発に巻き込まれたと思えたルパン達は、流石修羅場を幾つも潜ってきた大泥棒一味と言うべきか。
 間一髪爆発する車から脱出して、その体を煤汚れにするくらいで済んでいた。

 でも追いかけてくる銭形警部達に、足である車を壊されてゆっくりする暇もなく。





『どうやらここでお別れみてぇだな』





 そう私に笑いかけて、ルパンは夜の闇へと消えた。

 …って言うと恰好良いけど。
 正しくは銭形警部に追いかけられて、スタコラさっさと逃げ出した。

 颯爽と人を騙して逃げる姿も様になるけど、ああいうどこか抜けた姿もルパンらしいなぁと思う。
 ここ数日彼と一緒にいて、なんとなくルパン三世という人のことを知れたから。


「あいつに情が移って判断力が鈍ったんじゃねぇのか」

「そんな訳ないでしょ」


 …確かにルパンに対して負の感情だけ抱いているかと言えば…嘘になるけど。
 でも情なんて──


「……」


 …………ない、とは言い切れないかもしれない。

/ 2637ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp