My important place【D.Gray-man】
第41章 枷
見慣れたユウの姿。
昼間に面会に来てた時と同じもの。
今度は本物だ。
そうすぐにわかった。
だって、
「……」
一瞬驚いたように丸くなった目が私とルパンを見て、
ぶちんっ
何かが切れるような嫌な音がしたかと思えば、凄まじい殺気がビリビリと肌にぶつかったから。
思わずルパンの腕を掴む。
ルパンも私を抱く腕に力が入る。
お互いにその殺気につい、身を竦めてしまった。
ああこれ。
この慣れた殺気は間違いなくユウのものだ。
……殺気だけで誰か殺せそう怖い。
「次は逃がさんぞルパァアン!!!」
「お前…っ何警察署の壁を壊してくれとるんじゃぁああ!!!」
「雪さん大丈…ってルパン!? 何して…ッ」
「彼女を何処に連れて行くつもりですか!」
そこへドタバタと雪崩のように、扉の向こうから飛び出してくる複数の影。
銭形警部やガルマー警部やアレンやリンクさん、そして他警察の方々。
でも私の目は無言で殺気を放つ鬼しか見えていなかった。
怖い。凄く怖い。
無言で六幻の鞘抜いてるんだけど。
あ、抜いた鞘放り捨てた。
…なんだか動作がいちいち怖い。
「ル、ルパン…下ろして」
「いやぁ…今雪ちゃん放したら、オレ様あの刀の餌食になりそうな気がすんだけど」
その予想はね、うん。
多分合ってる。
ユウから目を離せずにいるまま恐る恐るルパンに声をかければ、同じく鬼のようなその姿を捉えたまま小さな声で返された。
でもね、ルパン。
一つ予想は外れてる。
あの鬼相手に私は恐らく、人質という効果はないから。
「……そいつを放せ」
低いドスの利いた声がルパンに投げかけられる。
その目は射抜くようにルパンを睨み付けていて、鞘を抜いた六幻の真っ黒な刃に人差し指と中指の先端を当てた。
ズズ…と触れた場所から塗り替わるように、銀色の刃が覗く。
…なんでイノセンス発動するんですか。
此処にAKUMAはいませんよ、ユウさん。