My important place【D.Gray-man】
第41章 枷
「なッ…ない!ない!!」
私を抱いたまま慌てて自分の体を弄るルパンの顔が、パニックで歪む。
え、じゃああれはルパンの持ってた国宝に仕込まれていたロケット?
いつの間に盗ったのっ?
全く気付かなかった。
「ありがとね、ルパン♡」
ボネールさんとはまるで違う、妖艶な真っ赤な唇でちゅっとロケットに口付けると、不二子ちゃんは再び豊満な谷間にそれをしまい込んだ。
しっかりとスーツのジッパーを上げて、垣間見えていた谷間を全て隠してしまう。
あ、残念もっと見…って違う違う。
問題はそこじゃない。
「ま、待て不二子。お宝は山分けするって約束じゃあ…」
「ええ安心して、言ったことは守るわ。情報をあげたのは私。盗んだのはルパン。そうね…9:1で手を打ってあげる」
恐る恐る声をかけるルパンに、暫く考えるように暗い夜空を見上げた後、ぱちんと見惚れるようなウィンクを不二子ちゃんは投げかけた。
と同時に、ブルンッ!とバイクにエンジンがかかる。
9:1って。
不二子ちゃんが9割、お宝を貰うってこと?
……それもう山分けって言わないんじゃないかな。
「後は私に任せて。それじゃまたね、ルパン。それと可愛らしいAKUMA退治屋さん♡」
「待っ…待て待て不二子! 待ってぇええ!!!」
「あ。」
にっこりと笑った瞳が私と重なる。
それも一瞬。
ブォンッ!と大きなエンジン音を立てて、まるで馬が駆け出すかのように前輪を上げて走り出す大型のハーレー。
縋るようにルパンが手を伸ばすも、止まる気配など見せず。
「そりゃないぜぇ~…」
あっという間に暗い夜空の下を走り去っていってしまった。
「チッ!ったくいつもこうなるんだからよ…ッだから不二子と組むのは嫌なんだ俺ァ! ルパン、五ヱ門、乗れ! 追うぞ!」
「御意」
「あ、待てって次元!」
「ってちょっと! 私連れてかないでよ…!」
荒々しく舌打ちしながら車のエンジンをかける次元に急かされるように、小さな車に乗り込む五ヱ門とルパン。
結果、ルパンにプリンセスホールドされてる私も乗車させられる訳で。
待って、私はついてくなんて言ってない!