My important place【D.Gray-man】
第40章 パリの怪盗
「困った時はお互い様よぉ。特に雪ちゃんはアタシとおんなじ女だし?この独房でたった二人の乙女なんだから、仲良くしましょ♡」
「……」
……………乙女…?
「え、と……ありがとう、ございました…」
色々とツッコみたくはなったけど。
とりあえず、このオカマさんのお陰で手当てしてもらえたらしい。
とりあえず、お礼は言わないと。
頭を下げつつ礼を言えば、同じに怪盗Gのコスプレ姿のオカマさんは、にぃっこりとバサバサの睫毛を揺らして笑った。
「素直な女の子は好きよ。アタシはボネール。一応、このヤマで頭張ってるの。困った時はなんでも言ってね」
このヤマって……この怪盗Gのコスプレだらけの群衆のこと?
この容疑者として捕まえられた人達の…頭をやってるって訳?
駄目だ、色々とキャラが濃過ぎて情報に追いつくので精一杯。
同じに怪盗Gの容疑者扱いされてるこのオカマさんは、独房の中のボスで警察にも顔が利くらしい。
「ジジちゃんから色々と話は聞かせてもらったわ。なんでも化け物と戦争なんてしてるんでしょ? こんな女の子まで狩り出されるなんて…物騒な世界ねぇ」
大きなボネールさんの手が、私の頭をよしよしと撫でてくる。
その色々と濃い顔を近付けられるのは怖いけど…それより、ボネールさんが発した言葉に嫌な予感が走った。
こうして全員捕まってしまったのなら、教団本部に救援の連絡を入れないと。
私達だけじゃ身柄を放してもらえない。
…でも。
「……」
怪盗Gを追った結果、皆仲良く独房行きなんて。
これじゃあ、ジジさんの盗聴ゴーレムが見つかって警察にしょっ引かれるのと同じだ。
こんなコスプレ衣装まで着せられて。
なんだかみっともない。
コムイ室長は呆れたりしないだろうけど、絶対フェイさんは呆れるだろうな…。
リーバーさんとか苦笑してそうだな…。
……ユウにはバレませんように。
絶対阿呆確定されるに決まってる。