• テキストサイズ

My important place【D.Gray-man】

第40章 パリの怪盗



「雪先輩…大丈夫ですか…?」


 言葉もなく項垂れていると、伺うような声が届いた。
 顔を上げれば、そこには怪盗Gと同じ恰好をした大柄な体が。


「…ゴズ?」


 ジジさんと同じく怪盗Gの被り物をしてるけど、一つ目の仮面は付けていないからわかる。
 見覚えのあるその顔は、ファインダー仲間であるゴズだった。


「オレが捕まっちゃったばかりに、先輩達まで巻き込んじゃって…すみません…!」


 盛大にガバリと頭を下げてくる。
 独房に捕まったゴズが此処にいるってことは…まさか。

 恐る恐る辺りを見渡す。
 目先の出来事に夢中で周りが見えていなかった。
 落ち着いた頭で辺りを見渡せば、目に映ったのは沢山の怪盗Gのコスプレ衣装を身に纏った人々。


「な……」


 何、この人数。
 こんなに沢山、怪盗Gの容疑者っていたの?
 そんな容疑者がいるってことは…此処は。


「っ」


 慌てて辺りをぐるりと見渡せば、硝子張りの壁とその下に鉄格子が見える。
 間違いない。此処はパリ警察署の独房なんだ。
 そして自分も、怪盗Gの容疑者として彼らと共に独房にぶち込まれてる。


「オレたちゃ仲良く揃って、怪盗Gの容疑者としてお縄を頂戴されたのさ」

「バズ…! 無事だったの!」

「ああ。このきっつい一撃、雪がおみまいしてくれたんだって? 効いたぜ」


 ゴズより大きな体が、ぬっと横から現れる。
 同じに怪盗Gのコスプレ衣装姿の、それはバズだった。
 顎に残る打撃跡を指差しながら笑う姿に、申し訳なくは思ったけれどほっとした。
 よかった、怪盗Gの催眠からは解放されたんだ。

 ……あれ。でもちょっと待って。
 仲良く揃ってって…………今回の任務メンバー全滅ってこと?


「そんな…皆捕まっちゃったってこと…!?」


 思わず頭を抱える。
 これじゃあ、ルパンどころか怪盗Gも捕まえられやしない。

/ 2637ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp