My important place【D.Gray-man】
第40章 パリの怪盗
「というか…なんですか、その恰好…」
周りを把握する前に、目の前であまりに強く主張してくる"それ"に、ついツッコむ。
というかツッコまざる終えなかった。
ジジさんの恰好。
白と緑の色合いに、ふざけた被り物。
……それ、どう見ても怪盗Gのコスプレ衣装ですよね。
「言っちゃあ悪いが、お前も同じ恰好してるからな」
「……へ?」
なんですと。
ほれ、と指差してくるジジさんに慌てて自分自身を見下ろす。
見えたのは、白と緑のツナギ服。
胸にはGの大きなロゴマーク……って。
なんですと…っ!?
「な、何これ…っ」
愕然と呟く。
こんなコスプレ衣装、着た覚えなんてないのに。
私はファインダーのマント姿のまま怪盗Gを追って、それから──
「っそうだルパン…!」
記憶が蘇る。
意識を飛ばす前、最後に見たのは国宝の王冠を手にしたルパンだった。
私に向かって、"怪盗Gに体を乗っ取られた"って苦笑していた姿。
「ジジさん、ルパンは…ッ」
数珠、取り返せてない。
ルパンはどうなったのか。
慌てて目の前のジジさんに喰い付くように問いかければ、渋い顔で額を指で弾かれた。
「くぉらっ、俺らの目的は"ルパン"じゃなく"怪盗G"だろが! 目的を見失ってんじゃねぇよっ」
「っ…す、みません…」
それは…そうだけど…。
でも……ユウの数珠…。
「……」
項垂れて自分の手首を見れば、やはりそこには見慣れた臙脂色の数珠はなかった。
………どう、しよう。
数珠…奪われてしまった。