My important place【D.Gray-man】
第40章 パリの怪盗
「そんなに大事なのねぇコレ……恋人からのプレゼント?」
「そんな甘いものじゃないからッ!」
痛む足を無視して、ルパン目掛けて跳躍する。
無事な右足で蹴りを入れても、擦れ擦れで避けられてしまった。
「っとぉ! 無理すんなって! 怪我してんだろその足っ」
「う、るさい…ッ」
幾ら地面にふかふかの雪が積もっていても、それだけのクッションじゃ痛みは和らげない。
地面に着地すると同時にズキリと左足首が鋭く痛む。
思わず顔が苦痛で歪む。
──キンッ
その時、頭の隅に何かが打ち込まれるような気配がした。
…ぁ…?
「雪?」
くらりと視界が揺れる。
一気に遠くなるような目の前の光景。
不思議そうに、心配そうにも見える顔でルパンが私の名を呼ぶ。
…そんな顔しないでよ。
人を騙して、国宝盗んで逃げようとしてた癖に。
「……ありゃ」
どんどんと遠くなる視界。
小さくなっていくルパンの顔が、私を見て苦い笑みを浮かべた。
何?
「もしかして…体乗っ取られちゃった?」
乗っ取られる?
乗っ取られるって、誰に──
「怪盗Gに」
そう、ルパンの声が呟いたような、そんな気がしたと同時に。
ぷつりと、目の前は真っ暗に塗り潰されて思考は途絶えた。