My important place【D.Gray-man】
第40章 パリの怪盗
「オネーサン…警察の人だったの?」
ぱちりと目を瞬いて問いかけてくる、バズの体をした怪盗G。
なんか引っ掛かる問いかけだけど…
「私は警察じゃない。けど、私の仲間は貴方の所為で捕まったんだから。その身柄は確保させてもらう」
それこそ本物の警察が、そのうち此処にもやってくる。
その前に怪盗Gを捕獲しないと。
「見たとこコントロールできる相手は、一度に一人までみてぇだな」
バズの体を乗っ取った怪盗G。
その足元に倒れているコスプレ姿の怪盗Gは、一切動く気配がない。
ルパンのその予測が当たってるなら、怪盗Gが操れるのは今はバズ一人だけ。
それなら…きっとなんとかなる。
「バズは私の仲間だから私が押さえる。手を出さないで!」
マグナムを構えている次元に声をかけて、コンクリートの床を蹴る。
向かうはバズ。
「手を出すなって、そんな巨漢相手に──」
「馬鹿ヤロウ雪! 一人で突っ込むな!」
次元とジジさんの声を耳にしながら、それでも私の体は止まらなかった。
ジジさんは肉弾戦はできない。
となるとバズを止めるのは私しかいない。
「オネーサン一人で相手してくれんの? できる?」
にいっと笑って輝く王冠片手に、戦闘態勢を取る怪盗G。
バズだってファインダーとして鍛えてる身。
おまけにこの巨体で力もあるから、私とは体格差や力の差は勿論大きい。
でも。
「人を見た目で判断してたら、痛い目見るからッ」
バズとは何度も組み手を交えてきた。
私の周りは男性ばかりだったから、こういう相手との戦い方は充分心得てる。
一直線に懐に突っ込む。
大きな拳が横から振り切ってくる。
その擦れ擦れを身を低めてかわしながら、左脇腹に潜り込んだ。
この巨体だから、懐に潜り込めれば一瞬でも死角に入り込める。
「ごめんバズ…!」
肋骨と肋骨の間を狙って拳を叩き付ける。
相手は鍛えてる巨体の持ち主だから、手加減なんてしてられない。
「ぐぅ…ッ!」
ミシッと嫌な音がする。
苦痛の声を漏らす怪盗Gが身を屈めた時を見計らって、下から顎目掛けて肘を突き上げた。
ゴッと鈍い音がしてクリーンヒット。
よし…!