My important place【D.Gray-man】
第40章 パリの怪盗
パリィンッ!
窓ガラスが割れる音。
恐らく怪盗Gが建物内から逃げ出した音なんだろう。
前も思ったけど、窓から飛び出すの好きだよね。
「こちらに怪盗Gの姿なし。ジジさん、そっちは?」
『──おう、こちらジジ。こっちも…あ! 出やがった怪盗Gだ!』
「本当っ!?」
どうやら怪盗Gはジジさん達が待機している屋上の通路を、逃げ道として選んだらしい。
「ルパン!」
「次元がいんだし、取り逃がさねぇよ」
すぐさまジジさん達が待機している現場へと駆ける。
ド・モンヴィル公爵の屋敷に比べれば、遥かに大きな美術館の屋上。
音で気付いたのか、大きな照明の光が右往左往しながら屋上も照らしていく。
これ、私達も見つかったらまずいよね…っ
なんとか照明の光から身を隠しながら辿り着いた、柵なんてない剥き出しの屋上。
其処には見覚えのあるコスプレ姿の怪盗Gが──
「っ?」
いた。
確かに、一つ目のふざけたコスプレ姿の人物が一人。
でもその人物はピクリとも動かずバズの足元に倒れている。
もしかしてもう捕まえた…!?
「バズ! 怪盗Gを捕まえ──」
「雪! そいつに近付くな!」
駆け寄る私を止めたのは、焦り叫ぶジジさんの声だった。
同時に振り返ったバズが、その振り向き様に大きな腕をぶおんっと振るう。
「わ…っ!」
咄嗟に床を蹴って後方に下がる。
間一髪、触れなかったからよかったものの。
当たってたら確実に怪我を負う程の威力だった。
「何、どうしたのバズ…っ」
まさか。
「そいつァお前さんの仲間じゃない。怪盗Gだ」
マグナムを構えたままぼそりと呟く次元に、目を剥いた。
嘘、じゃあバズが怪盗Gの催眠にかけられたってこと?
「…あれ?」
こっちを睨み付けるように見ていたバズと目が合う。
するとその目はぱちりと私を映して瞬いた。
何?