My important place【D.Gray-man】
第40章 パリの怪盗
「大丈夫?」
歯切れ悪くこっちを凝視してくる少年に、どこか体を痛めたのかと見る。
見たところ青痣や擦り傷は見当たらないけど…でもなんか固いものに当たった感覚はあったんだよね。
位置的に少年の顔があった辺りだと思うけど…。
「もしかしてそこ、怪我した?」
バンダナを巻いた額を押さえて後退る少年に、まさかと勘繰る。
なんか顔色悪いし。
もしかしてそこを怪我したのかも。
「ち…違っ! 怪我なんかしてねーよ!」
わあ、随分と乱暴な口調。
年相応の少年らしい顔をしてるのに、キツく睨み付けてくる目は鋭い。
でもまぁ、とりあえず。
「それならいいんだけど…一応、これどーぞ」
「え?」
荷物から取り出した絆創膏を差し出す。
ずっと額押さえてるし、そのバンダナの下は怪我してるのかもしれない。
喋りも噛み付くようなものだし、強がる性格なのかも。
「いっ要らねぇ…ッ!」
「まぁそう言わずに」
それでも拒否し続ける少年に、私も苦笑混じりに絆創膏を差し出したまま。
あ、軟膏の方がいいのかな?
怪我を見せてくれればそれが一番だけど、見せてくれなさそうだし。
別に絆創膏受け取るくらい、そんな突っぱねなくても。
「雪ー、なぁにがきんちょと遊んでんの」
「遊んでないよ、別に」
呆れた口調で呼びかけてくるルパンに、顔だけ振り返って応えた時だった。
わしっと。
それはもう、わしっと。
胸を両手で掴まれたのは。
「必殺! オッパイ落としぃいい!!!!」
「んっな…ッぎゃー!!!」
見れば目の前の少年が、思いっきり私の両胸の膨らみを鷲掴んで揉みしだき…ってちょっと待てぇえええ!!!!!