My important place【D.Gray-man】
第40章 パリの怪盗
「何?」
視線が気になって問いかけてみる。
「腕は立つ。けど盗みに関しては素人。警察じゃあねぇんだろ? なのに怪盗Gを追ってる。…雪ちゃん何者?」
「…その件に関しては、怪盗G捕獲後に教えるって言ったけど」
イノセンス同様、その時に伝えるとルパンに言った。
担保に数珠を取られてる身としては、こんなの休戦協定じゃない。
無理矢理同盟だ。
そんな相手に、ほいほいと自分の組織のことを話す気はない。
「それ返してくれるなら今此処で教えてもいいけど」
「…よっぽど大事なのねぇ、これ」
彼の左手首を見れば、しげしげと追った目が数珠に移る。
盗みのプロ相手に数珠を取り返すのは至難の業。
だから大人しくはしてるけど…本音は今すぐ奪い返したい。
ずっと肌見放さず身に付けていたものだから、何もない手首は違和感が残る。
…いや、多分。
身体的違和感より、精神的なものの方が大きい。
プレゼントだとか、そういう甘いものじゃない。
それはユウの"枷"。
物に執着のないユウが、強い思いで唯一身に付けていたものだから。
例え良い意味でなくても、私とユウを繋いでくれているものだから。
ちゃんと身に付けていないと。
…落ち着かない。
「んじゃーオレも大事に身に付けておかねぇと♪」
「……」
…どうやらすぐには返してくれないらしい。
「はぁ…それより、さっきの勉強の続きは? 怪盗Gの盗品の数」
溜息混じりに話を戻す。
とにかく怪盗Gの捕獲が先だ。
数珠の為にもゴズの為にも仕事の為にも。
「ああ。盗品は全部で37品。さっき雪が挙げた盗品も含めて、その品全てに共通するモンがあんだなァ、これがよ」
「え?」
そうなの?
「なんだと思う?」
緩く細まる目で再び問いかけられる。
どうやらこの大泥棒、クイズ好きらしい。
というか盗品全ての共通点…?