第1章 病院
母「あら,爽?」
爺「爽じゃのう~」
婆「爽ちゃんや!早よう来た道帰りんしぇ」
三人は向こう岸から朗(ほが)らかな声で爽に話し掛ける。絶対にこちらに来るな帰れなど言うものの爽が悩み事がある時は必ず,相談に乗ってくれる。
「うん,分かった!」
爽は三人の話より自分が倒れた場所にいた和服の男性が気掛かりで急いでこの世(現世)に戻って行った。
その背を眺めながら
爺「何かあったんじゃろか?」
母「好きな人が出来たのかも💗」
婆「それは,また来た時に聞くとしましょう~♪」
爺【いや~違うだろうの~(呆&困】
お爺様は“前にもこんな事があったじゃろ”と思うも
女性陣には口挟まず,静かに話を聞いていた。
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「ん,ん~っ」
爽は目覚めた。
「あ,またここか…はぁ~…」
こことは,集中治療室の事
爽の父,中津定保(さだやす)は心配性な大学教授
ま,お母様も先に死んで肉親は私だけだしね…。
爽はナースコールを押す。
ピーーッピーーッ!
しばらくするとノア兄,顔馴染みのナース二人と和服の男性が入ってきた。
和服の男性の後ろに見た事のないDr.が顔を覗(のぞ)かせた。