虹彩異色症の女神さんは2人の炎に愛されました【エース・サボ】
第3章 私は自由
「おぉ!2億が出ました!!」
司会の声が響く。
さっきの役人も手を挙げなかった。
「では2億で落札!!!」
私は売られた。
だけど買った人の顔は見えなかった。
オークション終了後。
アリスは裏口まで連れてこられた。
やはり光の無い目のまま下を向く。
「では、2億受け取りました。」
私は鎖を買った人に渡された。
「お前、荷物は無いのか?」
鎖に手をかけて解いてくれた。
そっと顔を上げる。
奴隷の鎖を解くなんて・・・。
「ここだと海軍に見つかっちまう!こっち来いよ!!」
オレンジ色のテンガロンガットの男。
背中には大きな刺し青。
『・・・どうして』
私を買ったの?
それだけが疑問だった。
この男は見る限り海賊だ。
海賊にとって女は足手纏いでしかない。
その男はアリスの手を引いて路地を走った。
もちろんついて行ける。
アリスはそこら辺の男よりも強い。
息も切れていない。
そして海兵の比較的少ないグローブへ。
「大丈夫そうだな・・・俺はエースだ!」
『・・・』
額の汗を拭いながら顔を覗き込む。
「えっと、アリス・・・だったよな」
『・・・そう』
聞いてもいいだろうか。
『・・・何で・・・・・私を?』
俯いたまま目を合わせない。
エースは考えるように腕を組んだ。
「直感・・・じゃ駄目か?」
直感なんかで私は買われたのね。
『・・・私をどうする気』
もちろん戦えるし、女だから・・・性欲処理のために。
そうやって使える。
でも、エースはそんなこと望んではいなさそうだった。
「好きなところにいけばいいさ。俺はお前を自由にしてやりたかっただけだ。」
思いがけない回答に顔を顰めた。
何者?
2億も出しておいて私を解放するですって。
『私は・・・行く場所なんかない』
10年前に失くしたから。
それは変わらない。
別にどうなってもいいのだから・・・”使え”ばいい。
「じゃあさ、俺と海賊やらねェ?」