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虹彩異色症の女神さんは2人の炎に愛されました【エース・サボ】

第10章 #束縛と解放


拘束されたアリスを見つめるエース。

その口元は笑っている。

アリスは恐怖から顔を歪めた。

怖い。

何をされるか予想がつく。

だから余計に恐怖を感じる。



『エース、お願いよ・・・やめて』

「それ相応の覚悟あったんだろ?」

『私は裏切ってなんかないわ』

「誰が信じるんだ?」

『私の話を聞いて!』

「もう・・・黙れよ」



怒りに満ちたその瞳に、悲しみが浮かんでいた。

本気で裏切られたと思っている。



「次は容赦しない」

『ッ・・・!』



エースがベッドに上がってきた。

腕を動かしてもベルトの拘束は外れない。

ガャチャガチャと音が鳴ってアリスの手首に傷がつくだけだった。



『やめて・・・』

「黙れ」

『んっ』



いきなり口を塞がれた。

目まぐるしく口内で動き回る舌。

アリスは恐怖した。

エースは私を壊すつもり・・・?

心も身体も・・・。



『んっぅく・・・エー・・・・ス』

「ッ・・・」



どうして?

分かってくれないの?

私は裏切ったんじゃないわ。



「覚悟しとけよ」

『・・・んはぁ』



アリスの中に何かが燃えた。

怒りだ。

恐怖とともに湧き上がってくる怒り。

自分の感情を押し付けるエースへの怒り。



『覚悟ですって?覚悟するのはあなたよ!!』



伸ばされたエースの手に噛み付いた。

口の中に血の嫌な味が広がった。



「いってッ!」

『んんん!!!』

「離せッ!」



あまりにも強く噛んだせいでエースの手に歯型が残った。

アリスの右目が赤く染まった。

だがエースに攻撃したくない。

これは怒りからなる覚醒だった。



『殺さないであげる。だから私を離して』

「お前が俺を殺さないことは知ってるさ」

『やめて!』



私に触らないで。

怒りで私を抱かないで。

そんなふうに歪んでしまったら私はあなたの何でもなくなるから。



「そんなんで俺が止まると思うのか?」

『え・・・』
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