虹彩異色症の女神さんは2人の炎に愛されました【エース・サボ】
第7章 ゴーゴンの覚醒者
『私・・・このことをもし政府が知っていたら?』
「はっ、んなことねェだろ」
『でも・・・』
「このオールック・アイリスは数100年前の人物だぞ?」
『目録は残るものよ』
「ま、いいんじゃねェのか?懸賞金は懸けられねんだし」
あなたは知らないのよ。
政府が直々に手を出すということは、海賊や賞金稼ぎよりも恐ろしいのよ。
実際に王国に手を下すことを取り決めたのは政府だもの。
まって・・・。
もしかして海軍はすでにそのことに気づいて七武海へ勧誘したんじゃ・・・。
私を利用するために?
政府から守るために?
「どっちみち俺が守ってやっから安心しろ!」
『頼もしいわね、でも私も自分の身くらい自分で守れるわ』
「そうだな」
『でも、いざとなったらあなたに守られるわ』
「なんだそりゃ」
『ふふふっ』
ページを開いたときはかなり動揺していたアリス。
だが、もうすでに正気を取り戻している。
エースは息をついてストライカーを動かした。
水しぶきがあがってアリスの長い髪にかかる。
アリスは帽子を押さえて海を眺める。
『綺麗・・・』
「ん?」
『私・・・海に出てよかった』
「そりゃよかった」
『ありがと、エース』
「何がだ?」
『海へ連れ出してくれて』
「あぁ、いいんだ」
アリスはエースを愛した。
そしていつまでも愛することを心に決めている。
だから、ずっと傍にいてね。
「いきなり言われても困るんだよ・・・」
エースは照れくさそうに笑うと前を見た。
海が太陽に反射してキラキラと輝いている。
アリスが言ったのはこの輝きのことだろう。
『怖いことなんてないんだって』
「ん?」
『いつも思ってた』
「歌か?」
『久しぶりに歌うかも・・・』
「ははっ」
『それでも前を向いて歩こうと思う』
突如歌いだしたアリス。
その声や歌詞に耳を澄ませた。
『たとえ世界が闇に呑まれて、何も見えなくなったとしても
戦い続けようと思う
どんなに辛くても逃げたくなかったから
戦いから目を逸らすのはやめにしない?
向き合って勝てなくても戦おう
そしたら何か、大切なものに巡り合えた気がする』
「上手いな」
『ずっと歌ってたの』
「子供んときから?」
『暇だったの!』
「あぁ」