虹彩異色症の女神さんは2人の炎に愛されました【エース・サボ】
第7章 ゴーゴンの覚醒者
『・・・ふぅ』
「上手だったぜ?」
『歌うことが好きなのよ』
「さっき聞いた」
『あれ?そうだっけ?』
「ずっと歌ってたんだろ?子供んときから」
『ふふふっ』
そんなことをしているうちに、日が落ち始めてきた。
それと同時に島も見えた。
アリスは身を乗り出して見た。
『あの島?』
「そうさ!」
『大きいわ』
上陸した2人。
そのころには辺りはすっかり薄暗くなっていた。
この島の気候は安定している。
寒くもなければ暑くもない。
ちょうどいい気温だ。
今日はもう、宿をとることにした。
そうなるとエースとアリスの間に変な空気が生まれるのだった。
気まずい・・・。
アリスは視線を落として歩いた。
エースの表情は翳っていてよく見えない。
「あ、あのさ!」
『何?』
平穏を装っていても心臓の鼓動は早い。
それはエースも同じだった。
「き、気まずいな・・・ははは」
『そうね・・・』
「だ、だからよぉ・・・その・・・」
『言いたい事は分かるわ、拒む理由はないもの』
「!!」
『わ、私だって・・・』
「何?」
『な、何でもないわ!』
何でだろう・・・。
俺もう駄目だ。
もたない。
可愛すぎるだろそのツンデレ!!
普段見せない彼女のギャップに煩悩に負けたエース。
『そ、そういうことってこんな場所で言う?』
「別にいいじゃんか」
『私が困るのだけど』
「は?何で?」
『隠れS・・・』
「お前なぁ!」
エースはアリスの髪を肩にかけた。
そして実感する髪の美しさ。
ゴーゴンの覚醒が影響してるのだろうか。
「やっぱ綺麗だな」
『嫌いって言ってるじゃない』
「俺は!好きだ」
『切りたいくらいうっとおしいの』
「もったいねェから切んなよ?」
『えー』
アリスはエースの頭をわさわさと触ってきた。
エースは根っからの黒髪だ。
『黒い方がいいわ』
「お前は金色が似合うから」
『そう?』
「俺はぜってェ似合わねェ」
『それは分かる』
エースはエースよ。
どんな髪形でもいい。
全てを愛してるもの。