虹彩異色症の女神さんは2人の炎に愛されました【エース・サボ】
第7章 ゴーゴンの覚醒者
そこに並べていられたのは色褪せた古い本や古書。
アリスは止まってその本を眺めた。
特別興味があるわけではない。
ただ、暇なときに読んだりできるものがあればいいなと思っていた。
別に、エースに言えば新しいものを買ってくれるだろう。
だがアリスは新しいものよりも古いものの方がいいと思っている。
「本がほしいなら買ってやるよ?」
『私、古い方が好きよ』
「そっか?」
色々と見ていると、ある本に目が留まった。
黒い表紙に白い字で題が書かれている。
色褪せてはいるが、アリスは題を見て気になった。
<Ancient Special Ability Person>
訳すと<古来の特別能力者>だ。
特別能力者・・・。
昔からいたんだ。
「それでいいのか?」
『えぇ、もらうわ』
「それ、手に取る人多かったんだけど買って貰えなくってね」
『ありがとう』
「いやいや、こちらこそどうも」
「行くか!そろそろ飯・・・」
『分かってるって』
アリスは本を片手にエースと手を繋いだ。
エースはそっと握る。
「ガキみたいに扱うなよ」
『じゃ、離すわ』
「あ、いや・・・」
『ふふふっ』
「お前ズリーな」
『子供みたいね、本当に』
「子供がこんなことするか?」
街中だというのにエースに引っ張られて口付けられた。
いきなりのことに状況把握ができない。
だが、すぐに離れていった。
「これで分かったか!?」
『こんなところで・・・』
「嫌か?」
『い、嫌じゃないけど』
今度は完全にエースのペースだ。
アリスはやりきれない思いでいっぱいだ。
エースがアリスを翻弄することはまずない。
逆にエースを惑わせている方だ。
『初めて・・・』
「ん?」
『エースが私を惑わせたの』
「俺は控え気味だからな!」
『普段はね』
「どーゆう意味だ?」
『内緒』
私は知っているのよ。
本気になると歯止めが利かないくらいに熱くなっちゃって。
この間なんてまさに身を持って分かったもの。
「だけど、お前が俺を惑わせたら俺はもっと強引になるぜ?」
『それっぽい』
「否定してくれ!」
『だって本当じゃない』
「そうだけどよ・・・」
進展のない淡い恋に酔い痴れてんなよ?